親が認知症かも?初期の変化に気づいた家族がまずすること

高齢の女性が一人で椅子に座り、窓の外を静かに眺めている様子 介護のはじめ方

「同じ話を何度もするようになった」「支払いや薬の管理で失敗が増えた」など、親御さんの変化に気づくと、「認知症かもしれない」と不安になるかもしれません。ただし、一つの変化だけで認知症と決めることはできません。加齢による変化のほか、体調、服薬、睡眠、気分の落ち込みなど、別の原因が関係することもあります。

この記事の要点

  • 家族だけで認知症かどうかを判定せず、生活の変化を具体的に記録する
  • 本人を責めたり試したりせず、「困っていることを一緒に確認したい」と伝える
  • かかりつけ医や地域包括支援センターへ相談し、必要に応じて専門医療機関へつなげてもらう

親の変化に気づいたとき最初に考えること

最初にすることは、認知症かどうかを家族だけで結論づけることではありません。「いつから、どのような変化が、生活のどの場面で起きているか」を整理し、相談先へ伝えられるようにします。

厚生労働省は、生活の中で違和感を覚えている本人や家族向けの情報、認知症に関する相談先、自治体が作成する認知症ケアパスなどを案内しています。認知症ケアパスは、状態に応じた相談・サービスの流れを地域ごとにまとめたものです。

急な変化は別に考える

数時間から数日で急に受け答えがおかしくなった、意識がもうろうとしている、ろれつが回らない、体の片側が動かしにくい、激しい頭痛があるなど、急な変化や生命に関わるおそれがある場合は、認知症の情報を調べ続けず、医療機関や緊急通報など適切な手段を利用してください。

ゆっくりした変化に見えても、薬の影響、感染症、脱水、睡眠不足、うつ状態などが関係する可能性があります。記事のチェック項目だけで原因を区別せず、医療職へ相談することが大切です。

相談を考えるきっかけとなる変化の例

次の例は、相談時に伝える材料です。該当する数で認知症を判定するための診断表ではありません。以前の本人と比べて変化が続いているか、日常生活に支障が出ているかという視点で確認します。

生活の場面 家族が気づく変化の例 確認したいこと
会話・記憶 同じ質問や話が増えた、約束を忘れることが続く いつから、頻度、本人が思い出せるか
家事・手続き 慣れていた料理や支払いの手順で失敗が増えた どの手順が難しいか、生活への影響
時間・場所 日時を取り違える、慣れた場所で迷うことがある 起きた場所、時間帯、帰宅できた経緯
服薬・健康管理 飲み忘れや重複が増えた、通院日を取り違える 薬の種類、残薬、最近の処方変更
気分・意欲 趣味や外出への関心が薄れた、不安や怒りが増えた 睡眠、食欲、体調、生活上の出来事
安全 火の消し忘れ、転倒、運転や金銭管理の心配が増えた 実際に起きたこと、再発防止が必要な場面

「年齢のせい」「本人の性格」と片づけずに相談することは大切ですが、反対に、もの忘れや失敗が一度あっただけで認知症と断定することも避けます。

家族が記録しておくとよいこと

受診や相談の場では、家族が見た具体的な情報が役立ちます。本人を監視するためではなく、変化の経過と生活上の困りごとを正確に伝えるためのメモにします。

  • 変化に最初に気づいた時期
  • 実際に起きたことと、その頻度
  • 以前はできていたことと、現在難しくなったこと
  • 本人が困っていること、気にしていること
  • 通院先、病気、服用中の薬、最近の処方変更
  • 睡眠、食事、水分、飲酒、転倒、発熱などの体調
  • 一人暮らし・同居・遠距離など家族の状況
  • 家族が特に心配している安全上の問題

「物忘れがひどい」のような評価だけでなく、「8月に入ってから同じ公共料金を2回支払った」など、時期と事実を記録します。本人の前で話しにくい内容がある場合は、受診前に医療機関へ伝え方を相談してください。

本人への伝え方・接し方

変化に最初に気づき、不安を抱えているのは本人の場合もあります。家族から失敗を繰り返し指摘されたり、「認知症だから病院へ行く」と決めつけられたりすると、否定したくなることがあります。

できないことを試す質問は避ける

日付や人の名前を繰り返し尋ねて正解できるか試したり、忘れたことを証明しようとしたりする対応は、本人の不安や関係の悪化につながることがあります。できないことを責めるのではなく、困っている場面の安全を一緒に整えます。

診断名ではなく体調や暮らしを入口にする

「認知症か調べてもらおう」ではなく、「最近、薬の管理が大変そうで心配」「体調も含めて一度かかりつけ医に相談しよう」など、具体的な困りごとを共有します。本人の意向を無視して受診を進めるのではなく、どのような相談なら受け入れやすいかを一緒に考えます。

本人がサービスや受診を嫌がるときは、親が介護サービスを嫌がるときの進め方も参考にしてください。

相談先と受診までの進め方

  1. かかりつけ医へ相談する:普段の病気や服薬を把握している医師に、本人の体調と生活の変化を伝えます。必要に応じて専門医療機関を案内してもらいます。
  2. 地域包括支援センターへ相談する:受診先が分からない、本人への伝え方に迷う、生活支援も必要といった場合に、親御さんの住所地を担当するセンターへ相談できます。
  3. 自治体の相談窓口・認知症ケアパスを確認する:認知症疾患医療センター、もの忘れ外来、認知症初期集中支援チームなど、地域で利用できる相談・医療体制を確認します。
  4. 受診時に記録を持参する:変化の時期、具体例、薬、既往歴、生活上の支障を伝えます。

受診先や制度名は地域によって異なります。詳しい相談準備は地域包括支援センターに相談できることと使い方、介護全体の最初の確認は介護が始まったら家族が最初に確認したいことをご覧ください。

介護サービスが必要になった場合

診断の有無だけで、すぐに同じ介護サービスが必要になるわけではありません。買い物、食事、服薬、外出、入浴など、現在困っている生活場面から支援を考えます。

介護保険サービスの利用を検討する場合は、市区町村への要介護認定申請、ケアマネジャー等との相談、ケアプラン作成へ進みます。利用できる支援の全体像は介護保険で利用できる在宅・施設サービスで確認できます。

離れて暮らしていて日々の様子が分からない場合は、本人の同意と負担に配慮しながら、見守りサービスの種類と選び方も検討できます。

よくある疑問

もの忘れがあれば認知症ですか?

もの忘れだけで認知症とは判断できません。加齢による変化や、ほかの病気・薬・体調が関係することもあります。変化が続く、生活に支障がある、家族が心配している場合は、記事だけで区別せず医療職へ相談してください。

本人が受診を嫌がる場合、家族だけで相談できますか?

地域包括支援センターや自治体の相談窓口では、家族から相談できる場合があります。医療機関の対応は施設ごとに異なるため、事前に電話等で確認します。本人をだましたり無理に連れて行ったりする前に、受診へつなぐ方法を専門職と相談してください。

認知症と診断されたら、すぐ一人暮らしはできなくなりますか?

診断名だけで暮らし方を一律に決めるものではありません。本人ができること、希望、安全上の課題、地域の支援を確認します。必要な部分だけ支援を加え、本人の意思を尊重して検討します。

家族が遠方に住んでいる場合、最初に何をすればよいですか?

親御さんの住所地を担当する地域包括支援センターへ相談し、近くで関わる人、かかりつけ医、緊急連絡方法を整理します。電話の回数だけで判断せず、可能なら本人の普段の生活を知る人からも具体的な様子を確認します。

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参考にした公的情報

この記事は、家族が変化を記録し、相談や受診へ進むための一般的な情報です。認知症の診断、ほかの病気との区別、治療の判断は行いません。急な体調変化や安全上の危険がある場合は、状況に応じて医療機関や緊急通報を利用してください。

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