老人ホーム・介護施設の費用はいくら?入居前に確認したい内訳と資金計画

介護付有料老人ホームの前で、老人ホームの費用の目安が書かれた資料を見る女性 老人ホーム・介護施設

老人ホームや介護施設を検討し始めると、「月額○万円」という表示だけで足りるのか、親の年金で払い続けられるのかが気になります。施設費用は、入居時に払うお金、毎月の基本料金、介護保険の自己負担、医療費や日用品などを分けて確認しないと、実際に必要な総額が見えません。

この記事の要点

  • 広告や料金表の「月額」だけでなく、入居時費用・介護費・保険外費用まで同じ条件で見積もる
  • 介護保険施設と民間の有料老人ホーム等では、費用の決まり方が異なる
  • 親の年金・預貯金は、現在の要介護度だけでなく、状態変化と追加費用を含めて確認する

老人ホーム・介護施設では何にお金がかかるのか

施設入居に必要なお金は、次の5つに分けると整理しやすくなります。

区分 主な内容 確認する資料
入居時費用 前払金、敷金、入居準備、引っ越し等 料金表、契約書、前払金の算定・返還方法
住まい・食事 家賃・居住費、管理費、食費、水光熱費等 重要事項説明書、料金表
介護 介護保険サービスの自己負担、保険外介護 負担割合証、サービス費、加算、個別契約
医療・生活 医療費、薬、日用品、理美容、通信、衣類等 実費一覧、持込規定、家計記録
臨時費用 入院、通院同行、退去、居室移動、原状回復等 契約書、退去規定、個別サービス表

施設の種類そのものを整理したい場合は、先に老人ホーム・介護施設の種類・費用・選び方ガイドをご覧ください。本記事は、候補施設の費用を具体的に比べる段階に焦点を当てています。

入居時に必要になる費用

入居時にまとまった費用が必要かどうかは、施設と支払方式によって異なります。民間の有料老人ホーム等では、家賃相当額の一部を前払いする方式、敷金を預ける方式、前払金を設けず月払いにする方式などがあります。

  • 前払金のうち、入居時に償却される額
  • 想定居住期間と毎月の償却額
  • 退去・死亡時の返還金の計算方法
  • 短期間で契約を終了した場合の返還条件
  • 敷金、原状回復、引っ越し、家具・衣類の準備費

前払金は「払えば月額が必ず安くなる」とは限りません。入居期間によって総支払額が変わるため、前払い方式と月払い方式を同じ期間で試算します。契約前に重要事項説明書と契約書を受け取り、返還金の式まで確認してください。

毎月必要になる費用

毎月の総額は、料金表の月額欄だけでは決まりません。次の式で候補ごとに整理します。

毎月の見込み額 = 基本料金 + 介護保険自己負担 + 医療・生活費 + 個別の追加費用

基本料金に何が含まれるかは施設ごとに異なります。家賃、管理費、食費、水光熱費が別欄になっていないか、食事を欠食した場合の扱い、入院中も必要な費用を確認します。

介護保険サービスの自己負担

介護サービス情報公表システムでは、介護保険サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある方は2割または3割と案内されています。介護保険施設では、施設サービス費の自己負担に加えて、居住費、食費、日常生活費が必要です。

実際の施設サービス費は、施設種類、要介護度、負担割合、地域区分、施設の体制や加算などで変わります。古いモデル料金をそのまま当てはめず、候補施設に現在の要介護度・負担割合を伝えて個別の見積書を依頼してください。

介護保険サービス費の自己負担が一定の上限を超える場合は、高額介護サービス費の対象になることがあります。ただし、食費・居住費や日常生活費などは原則として計算対象に含まれません。制度の全体像は介護費用の負担を減らすために確認したい制度で確認できます。

食費・居住費

介護保険施設の場合

特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院等では、施設サービス費とは別に食費・居住費を負担します。所得・資産が一定以下の方は、市区町村へ申請して負担限度額認定を受けると、補足給付により負担が軽減される場合があります。

2026年8月1日からの見直し

厚生労働省の改定通知と自治体の公表資料により、2026年8月1日から介護保険施設等の食費・居住費に関する基準費用額・負担限度額が見直されました。以下は桜川市が2026年6月1日に公表した改定表に基づく日額です。

項目 2026年7月まで 2026年8月から 対象・条件
食費の基準費用額 1,445円 1,545円 介護保険施設等の日額。実際の負担額は契約・認定段階で異なる
食費・第3段階① 650円
短期入所1,000円
680円
短期入所1,030円
負担限度額認定を受けた第3段階①
食費・第3段階② 1,360円
短期入所1,300円
1,420円
短期入所1,360円
負担限度額認定を受けた第3段階②
居住費・第3段階② 部屋類型により430~1,370円 一部を除き530~1,470円 介護保険施設の第3段階②。室料を徴収しない老健・介護医療院の多床室は430円で変更なし

第1・第2段階の食費負担限度額は変更されていません。居住費の変更は第3段階②が対象で、施設種類・部屋類型により扱いが異なります。また、第2段階と第3段階①を分ける本人の年金収入等の基準は、2026年8月から80万9,000円から82万6,500円へ変更されました。所得だけでなく世帯・配偶者の課税状況や預貯金等の要件もあるため、該当可否は記事だけで判断せず、最新の負担限度額認定証と親御さんの住所地の市区町村で確認してください。

補足給付の対象は介護保険3施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)とショートステイ等です。有料老人ホーム、認知症グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービスにはこの負担限度額認定は適用されません。

この表は2026年8月1日時点の制度変更を説明するもので、特定施設の見積額ではありません。民間の有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の家賃・食費を一律に定める表でもありません。

民間施設の場合

有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、家賃・管理費・食費などは契約に基づきます。介護保険施設の基準費用額を、そのまま民間施設の料金相場として使うことはできません。重要事項説明書と料金表で、基本料金に含まれる範囲と改定条件を確認します。

見落としやすい費用

  • 医療機関の受診、薬、歯科、訪問診療の自己負担
  • おむつ、日用品、衣類、寝具、洗濯、理美容
  • 電話・インターネット・テレビ・居室内の電気使用
  • 通院同行、買い物代行、外出支援など個別サービス
  • 行事食、特別食、嗜好品、レクリエーション材料
  • 入院中の居室費、退院後の再受入れ、居室移動
  • 状態変化に伴う介護保険自己負担・加算・保険外介護

「込み」と書かれている項目も、回数・時間・対象範囲に上限がないか確認します。利用実績により変わる費用は、直近3か月分を仮定した月額例を施設に作ってもらうと比較しやすくなります。

施設種類による費用構造の違い

施設・住まい 費用確認の中心 注意点
特別養護老人ホーム 施設サービス費、食費、居住費、日常生活費 要介護度、負担割合、部屋類型、補足給付で変わる
介護老人保健施設・介護医療院 施設サービス費、食費、居住費、医療・生活関連費 施設の目的、室料、加算、入所期間の考え方を確認
介護付き有料老人ホーム 前払金または家賃、管理費、食費、特定施設の介護費 前払金の返還、月額に含む介護、追加サービスを確認
住宅型有料老人ホーム 住まいの料金と外部介護サービス費 介護サービスを増やしたときの総額を別に試算
サービス付き高齢者向け住宅 家賃、共益費、生活相談・安否確認、外部介護費 介護・食事・生活支援の契約先と料金を分けて確認
認知症グループホーム 介護費、家賃、食材料費、水光熱費等 地域密着型サービスの利用要件と個別費用を確認

前払い方式と月払い方式の違い

前払い方式は、一定期間の家賃相当額などを先に支払い、月額負担の一部を抑える設計があります。月払い方式は初期負担を抑えやすい一方、入居期間が長くなるほど総支払額が増える場合があります。

比較するときは、同じ想定入居期間で「入居時費用+月額×月数-退去時返還見込額」を計算します。さらに、料金改定、入院、居室変更、状態悪化、契約終了時の条件を加えます。将来の入居期間は確定できないため、短期・中期・長期の複数条件で比較してください。

利用できる負担軽減制度

  • 補足給付:介護保険施設等の食費・居住費を、所得・資産等の条件に応じて軽減。市区町村への申請が必要
  • 高額介護サービス費:介護保険サービスの自己負担が所得区分ごとの月額上限を超えた場合に支給。食費・居住費等は原則対象外
  • 高額医療・高額介護合算制度:同じ医療保険の世帯で医療と介護の年間自己負担が上限を超えた場合に軽減
  • 自治体・社会福祉法人等の制度:地域や事業者、所得等により利用できる場合がある

制度名だけで利用可否を決めず、市区町村の介護保険窓口へ、本人・配偶者・世帯・資産などの条件を確認してください。

親の年金・預貯金と照らして考える方法

  1. 毎月の手取り収入を確認:年金などの入金額から、入居後も続く税・保険料・住居関連費を整理する
  2. 施設の実質月額を出す:基本料金、介護、医療、日用品、個別サービスを合計する
  3. 毎月の不足額を計算:実質月額から親の手取り収入を差し引く
  4. 初期費用と予備費を分ける:入居時費用を払った後に、医療・退去・住み替え等へ備える資金を残す
  5. 複数期間で確認:1年、3年、5年など複数の期間で不足額と資産残高を試算する

家族からの援助を前提にする場合は、誰が、毎月いくら、いつまで負担できるかを曖昧にしません。親の資産状況が分からないときは、本人の意思とプライバシーに配慮しながら、通帳、年金通知、固定費、保険、持ち家の維持費などを一緒に確認します。

見学・契約前の費用チェックリスト

  • 見積書は本人の要介護度・負担割合・部屋条件で作られているか
  • 月額表示に家賃、管理費、食費、水光熱費の何が含まれるか
  • 介護保険の加算と、保険外介護の料金・利用単位
  • 医療、通院同行、おむつ、洗濯、理美容などの実費一覧
  • 入院・外泊中も請求される費用
  • 状態変化・居室変更・料金改定時の条件
  • 前払金の償却、返還、保全措置
  • 退去予告、原状回復、退去時精算
  • 補足給付などの対象施設か、申請先はどこか
  • 1年・3年・5年の総支払額を比較したか

施設見学で生活面と一緒に確認する項目は、老人ホーム見学チェックリストにまとめています。

費用が分かった後の施設探し

予算は「月額上限」だけでなく、必要な介護・医療、本人の希望、家族が通える距離と合わせて使います。安さだけで候補を決めず、「必須」「できれば」「避けたい」に条件を分け、同じ費用項目で複数施設を比較してください。具体的な進め方は老人ホーム探しの進め方をご覧ください。候補を自分で集めるのが難しい場合は、老人ホーム紹介サービスを利用する方法もあります。仕組みや相談前に確認したいことは老人ホーム紹介サービスとは?無料の仕組み・選び方と相談前の準備で解説しています。

よくある疑問

老人ホームの費用相場はいくらですか?

施設種類、地域、部屋、要介護度、負担割合、契約方式、追加サービスで大きく異なるため、根拠のない平均額だけでは判断できません。候補施設に同じ本人条件を伝え、初期費用・月額・追加費用を分けた見積書で比較してください。

親の年金だけで入居できますか?

年金額だけでなく、施設の実質月額、入居後も続く支出、医療・日用品、状態変化時の追加費用を含めて判断します。毎月不足する場合は、預貯金で何年補えるか、家族援助が継続可能か、負担軽減制度を利用できるかを確認します。

特別養護老人ホームなら食費・居住費は全国同じですか?

一律とは限りません。基準費用額や負担限度額の仕組みはありますが、実際の負担は所得段階、部屋類型、施設との契約、認定の有無等で異なります。最新の料金表と負担限度額認定証を確認してください。

前払金が0円なら初期費用は不要ですか?

前払金がなくても、敷金、引っ越し、家具・衣類、医療情報の準備、入居月の日割り費用などが必要な場合があります。「前払金0円」と「入居時の支払い0円」は同じとは限りません。

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参考にした公的情報

この記事は2026年8月時点の公的情報に基づく一般的な費用整理です。施設料金、介護報酬、負担割合、軽減制度、所得・資産要件は個別条件や改定により変わります。契約前に施設の最新書類と市区町村の案内をご確認ください。

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